「ママがすきだって。すいぞくかんでいってた」
「水族館で? ……おにいちゃんがそう言ってたの?」
「うん。だいじなたからもの。ひなたもだいすきって」
美織がトイレに行っているときにそう話していたという。
「ママは? おにいちゃん、すき?」
一点の曇りもない透き通った瞳に真っすぐ問いかけられた。
もう迷いはしない。陽向にも胸を張って言える。
「ママも好き。……とっても」
別れてからはじめて口にした想いが、美織の胸を熱くさせる。
バンクーバーで出会ったときとなんら変わらず色褪せない恋心は、今もそこに健在だった。
「ひなたとおにいちゃんとおんなじだね」
「そうね、三人みんな一緒。……ねぇ、陽向、これからおにいちゃんに会いにいく?」
「いくー!」
布団に座っていた陽向は、元気よくぴょんと立ち上がった。



