美織の責任ではないとふたりが口を揃える。
叱られる覚悟をしていたため、正反対の反応に戸惑わずにはいられない。子どもに読み聞かせをするような優しい口調が心に染みてくる。
「……そう、なのかな」
「ええ。目を離したのを後悔しているのなら、瀬那さんの目も借りたらいいんじゃないかしら」
「彼の目も?」
「そう。起きてしまった事故を悔やむばかりじゃ、なにも生み出さないでしょう? もっと建設的に考えなきゃ。想い合っている者同士が離れている理由はないはずよ」
悦子の言葉に賛同して頷きながら、辰雄が続く。
「勇気を出せ、美織」
隣に座る美織の背中をトンと叩いた。
ふたりの言葉が美織を大きく後押しする。
――勇気を。
あのとき勇気を出せずに逃げた過去はもう取り戻せない。でも、これから先の未来なら、自分でいくらでも変えられる。



