三年半前の彼の言葉も偽っていた職業も、美織を想うがための嘘。昼間東京で見かけた女性との関係も誤解だと知り、抑えつけていた気持ちが制御できなかった。 (それってもしかして、母親として失格じゃない……?) そのせいで、危険が潜む工房内で大切な陽向から目を離し、怪我を負わせてしまったのだから。忘れられない恋情が、防げたはずの事故を引き起こした。 陽向が目の前で火傷を負ったショックが、美織の心を大きく乱していた。