「陽向くん、大丈夫だ。おにいちゃんがついてるから」
どうしようとオロオロするばかりの美織と対照的に、史哉は涙をぽろぽろ流す陽向を励まし、「大丈夫だ」と繰り返した。
どれくらいそうしていただろう。しばらく流水で冷やしていたが、史哉は水を止めて美織に振り返った。
「美織、保冷剤はある?」
「す、すぐに持ってきます」
彼に問われ、踵を返す。
たしか冷凍庫にあるはず。夏場の工房内は室温が四十度に達するときがあるため、体を冷やすグッズとして用意している。冬場は使わないが、夏に使ったものが入れっぱなしだ。
焦る気持ちに足を取られながら冷凍庫から保冷剤を取り出し、ハンカチと薄手のタオルを引っ掴んで彼の元に戻る。
ヒックヒックとしゃくり上げる陽向を椅子に座らせ、患部にハンカチをあて、その上から保冷剤をタオルで巻いていく。史哉が手際よく処置をする間、陽向はおとなしくされるがままになっていた。
「念のため病院へ行こう」
「はい」



