両親が病に倒れたのも、それとは別問題。美織の中ではとっくに心の整理がついていることだった。
そもそも、そのホテルは史哉とはなんの関係もない。史哉が負い目を感じる必要はどこにもないのだ。
「全部話してほしかった……」
そうすれば誤解せず、ずっとふたりでいられたかもしれない。空白の三年半には共に歩む未来があったのかもしれない。
今さらどうにもならない過去に胸が焦がれる。取り戻せない時間だからこそ愛しくて切ない。
でも――。
彼ひとりに罪を着せるのはフェアではないだろう。
「史哉さんに真実を聞く勇気を持てなかった私もいけないんです」
ホテルで立ち聞きした会話の真偽を史哉にたしかめず、尻尾を巻いて逃げた美織にも責任はある。生きる世界の違う彼に怖気づき、彼を疑い、本心に気づけなかった。
「いや、美織はなにも悪くない。最初から話しておくべきだったって今ものすごく後悔してる。……でも、美織」



