真実を明かさなかったのは、史哉にとって美織がそれだけの人間だったからではないのか。
守るためなら、本当のことを明かしてほしかった。
史哉は深く息を吐き出し、切なげに瞳を揺らした。
「そうだね、美織には早く打ち明けるべきだった。……でも言えなかった」
読谷村で大規模なホテル開発があったのは十七年ほど前。ラ・ルーチェほどの規模ではないが、香港に本社を構える外資系ホテルグループのものだった。
美織の両親がその時期にペンションを畳んだと話したことがあったため、ホテルに対する美織の印象は決して良くない――いや、むしろ悪いだろう、もしかしたら恨んでいるかもしれないと考え、史哉は自分がその業界の中枢に身を置いているとは言えなかったという。
両親が相次いで早世したのは、その心労が祟ったためかもしれないと思ったら、とてもじゃないが打ち明けられなかったと史哉が言葉を詰まらせた。
それは思いも寄らない告白だった。
(私の生い立ちが、文哉さんを悩ませていたなんて……)
たしかにあの開発がきっかけで美織の両親はペンションを畳んだが、もともと経営状態も芳しくなかった。開発がなくても、ゆくゆくは廃業せざるを得なかっただろう。



