美織にわかりようもない。そんな問いかけは残酷だ。
唇を噛みしめ、史哉から目を逸らして俯いた。
「美織、キミだよ」
「……え?」
足元に落とした視線を即座に彼に戻す。
(今、なんて……?)
耳が誤作動を起こしたのか。叶いようのない願いが、正反対の言葉を都合よく変換してしまったみたいだ。
「やっと見つけたキミを、もう絶対に失いたくない」
どうしてだろう。日本語のはずなのに理解ができない。まるで異国の言語のように聞こえる。
「美織を忘れた日なんてなかった」
(私を忘れた日はない?)
それは素直に聞き入れられない。
「……そんなのおかしいです」
「おかしい? なぜ」
「私は遊び相手だって。すぐに別れるから心配するなって」



