いったいなにを誤解しているというのか。彼の言葉の意味がまったくつかめない。
美織はゆっくりとまばたきをして怪訝そうに首を傾げた。
「今日、本社で僕を見かけたそうだね」
コクンと頷き、彼の言葉の続きを待つ。
「一緒にいた女性とはなんの関係もない」
予想とは違うことを言われ、頭が混乱する。
「結婚を考えている方じゃ……ないんですか?」
「結婚? まさか。僕が結婚を考えている女性はべつにいる」
それはもしかして私?と、この期に及んでよからぬ期待が頭をもたげる。遊びの女相手にそう思うはずがない。
今日見かけた女性は違うというだけで、べつにいるのだろう。
三年半ほど前に立ち聞きした〝遊びだから〟という彼の言葉が、美織をことごとく後ろ向きにさせる。
「それが誰だかわかる?」



