「東京に来るなら、連絡をくれればよかったのに。というか、ほしかった」
彼の秘書に託した書類はしっかり渡っていたようで、その点については安堵する。
しかし美織が連絡をすれば、こうしてわざわざ沖縄まで飛ばなくて済んだのにという意味だろう。
「すみません。お忙しいと思ったので……」
もしかしたら会えるかもしれないと期待していたなんて絶対に言えない。別れの場面に彼への想いは邪魔なだけだ。
「美織が相手なら時間はいくらでも作る」
「……そんな思わせぶりなことは、もう言わないでください」
結婚を控えた女性がいるのに、そんな発言はあまりにも酷だ。いつかのときのように、べつの形で本心を知らされたくはない。
切り捨てるなら、今ここですっぱりと美織を排除してほしい。
史哉は困ったように肩を上下させてため息をついた。
「やっぱり誤解しているようだね。沖縄に飛んできて正解だ」
「誤解……?」



