気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】


「仕事で忙しいみたい。でも、秘書の方にしっかり託してきたから大丈夫だと思う」
「そうか。彼に会えなかったか」


辰雄が残念そうに息をつく。

もしかしたら辰雄は、陽向抜きで史哉に会わせようとして美織を東京へ行かせたのではないか。ふたりきりで話すいい機会だと。

でも東京へ行き、真実を知れたのはよかった。傷が深くなる前に離れられる。
史哉と美織は、どれだけ時を経ても交わらない運命なのだ。美織の恋心は一生報われない。


「今夜は疲れただろう。帰ってゆっくり休んだほうがいい」
「うん。……でも、もう少しだけここにいてもいい?」


琉球ガラスや、その道具に囲まれていると心が落ち着く。波立った気持ちも、悲しい事実も、癒してから帰りたい。


「わかった。陽向は連れていこうか」
「ううん、大丈夫。そんなに長居もしないから」
「そうか。それじゃ戸締りを頼んだよ」


辰雄を見送り、ふぅと深く息を吐き出す。