めいっぱい笑みを浮かべた陽向を思わずもう一度抱きしめる。
このぬくもりがあれば大丈夫。なにも怖くなんかない。元の生活に戻るだけだから。
「ママー、くるしいよ」
「ごめんね。ママ、ちょっと疲れちゃったみたいで、陽向から元気をもらったの」
「じゃあいいよ。もっとあげる」
今度は陽向から抱きしめられ、冷えきっていた心がじんわりあたたかくなっていくのを感じた。
「ありがとう、陽向。ママ、とっても元気になっちゃった」
「またげんきがなくなったらね」
「そうね。よろしくね」
陽向を解放し、立ち上がる。
「遠くまでご苦労さん。疲れただろう」
「東京なんて久しぶりだったからちょっとね。でも無事に書類は渡してきました」
「瀬那さんには会ったかい?」
辰雄に聞かれて首を横に振る。笑顔を浮かべたつもりだが、引きつっているのは自分でもわかった。



