気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】

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空港からバスに乗った美織は、窓の外を流れる見慣れた風景をぼんやりと眺めていた。

沖縄にいるのに意識はここになく、遥か先の東京に置いてきたような感じがする。数時間前に見た光景が頭から離れず、心は凍りついたまま。目に入る夕暮れの景色は色を失っていた。

飛行機に乗る直前、スマートフォンに史哉からメッセージが届いたが、なにも返信できずに電源を落とした。

陽向のこともあるから近いうちに彼ときちんと話さなければならないが、まだ気持ちの整理がつかない。
三年以上が経ってもなお彼への恋心で目が眩み、同じような道筋を辿った自分が惨めでたまらなかった。

この時間なら祖父はまだ工房だろう。陽向も一緒にいるかもしれない。
バス停から真っすぐゆくるに向かうと、読み通りふたりはそこにいた。


「ただいま」
「ママー!」


美織を見つけ、いの一番に飛び込んでくる。その場にしゃがみ込み、陽向を抱きしめた。

おひさまを存分に浴びた匂いが美織の心に染み渡る。腕の中にすっぽり収まるほど小さいのに、なによりも美織を満たしてくれる存在だと実感して涙が出そうになった。