「これを持ってきたのは男性? それとも女性?」
「女性でしたが……?」
尋常でない驚きぶりの史哉を見て、理恵子が不思議そうに答える。
東京へ来るのなら、なぜ美織は史哉にメッセージなり電話なりよこさなかったのか。いや、美織のことだから仕事の邪魔をしてはいけないと考えたのだろう。
でもそれなら、さっき送ったメッセージに反応くらいしてもいい。
「それは何時頃」
立ち上がりながら質問を続ける。先ほどハンガーに掛けたジャケットを羽織った。
追いかける気満々だ。もしもそれほど経っていないのなら間に合うかもしれない。
「社長が池内様とお食事にいかれたときです。ちょうど入れ違いだったようで、夏川様も社長と池内様をお見かけしたとおっしゃっていました」
「入れ違い? ……僕たちを見た?」
嫌な予感が胸をかすめる。



