本社の社長室へ戻り、ジャケットをハンガーに掛けてからプレジデントチェアにゆったりと腰を下ろす。スリープ状態になっているパソコンを立ち上げ、パスワード画面に切り替わったところでドアがノックされる。
史哉の応答で入室したのは理恵子だった。
「社長、先ほどお見えになったお客様よりお預かりいたしました」
彼女がA4サイズの封筒を差し出す。ラ・ルーチェの社名が印字された封筒だ。
「お客様?」
そんな予定は入っていない。
「はい。ガラス工房ゆくるの夏川様です」
「夏川!?」
背もたれに預けていた体を弾かれたように起こし、彼女の手から奪うように封筒を取る。慌てて中身を確認すると、それは史哉が辰雄に手渡した書類だった。
彼の署名や押印などがされている。
わざわざ沖縄から持ってきたというのか。



