今日、彼女とふたりで食事にきたのも、その意思表示をするためである。
「そ、そうだ、沖縄のホテルはいつ頃オープン予定なんですか?」
場の空気が微妙になったのを感じ取ったのだろう。紀香が話題転換を図る。
「来年の春を予定しています」
「完成が待ち遠しいですね」
「お客として訪れてくださるのなら歓迎しますよ」
「……え?」
ふたりで一緒に行く未来を思い描いているのだとしたら叶わない夢だが。
飲み干したコーヒーに気づいた店のスタッフが、「お代わりをお持ちいたしましょうか」と声をかけてきた。
しらけたムードが瞬間和み、紀香が小さく安堵する。
「いえ、そろそろ出ようかと思っておりますので」
「あの、私、お代わりをいただいてもよろしいですか?」
史哉が断ってすぐ、紀香が立ち去ろうとしたスタッフを呼び止めた。



