いったいどれほどグロスを塗っているのか、そうしてもなお唇は天ぷらでも食べたよう。まばたきひとつで風が巻き起こりそうなつけまつ毛も、もう少し自然にできないものか。
美人には違いないが、あまりにも作られすぎていて興覚めする。
ナチュラルな美しさの魅力に溢れた美織に今すぐ会いたくてたまらない。
「申し訳ありませんが、沖縄に行く予定です」
「沖縄に? では私もご一緒してもいいでしょうか」
「一緒に? なぜですか」
彼女が同行する理由はなにひとつない。
眉をひそめて聞き返すと、紀香はわずかに瞳を揺らしてたじろいだ。
「……史哉さんと行ったら楽しいだろうなと思ったんです。ごめんなさい。リゾートの建設もはじまっているみたいですし、お仕事で行かれるならお邪魔ですよね」
「そうですね。申し訳ありませんが、紀香さんのお相手をする時間はありません」
妙な期待をもたれても困る。はっきり答えると紀香の顔が曇った。
これまでは彼女の父親が同席していたため、あからさまな態度は避けてきたが、あちらが強引に出るのであれば史哉も躊躇しない。



