気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】


動揺をなんとか封じ込めて頭を下げる。
沖縄のリゾートで祖父のガラス食器を使用することは伝わっているらしく、好意的な空気を醸し出す。


「瀬那はたった今、外出したところなんです」
「……はい、先ほど女性とご一緒にお出かけになるところをお見かけしました」


その女性は婚約者なんですか?
そう聞きたかったが、そこで口をつぐむ。部外者にプライベートな打ち明け話はしないだろう。


「そうでしたか。大変申し訳ありませんが、私が代わりに承ります」


理恵子が拾い上げた封筒を美織に返そうとしたため、受け取らずに手の平を上にして彼女に向けた。


「今日は祖父から預かった書類をお持ちしました。そちらがそうなんです」
「そうでしたか」
「瀬那社長にお渡しいただければおわかりになるかと思います」
「かしこまりました。では私が責任をもってお預かりいたします」


せめてこのビルの中にいる間だけは平静でいようと心がけ、しっかりした足取りで理恵子に見送られてラ・ルーチェの本社ビルをあとにした。