気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】


「瀬那社長とお似合いよね。婚約間近なんだって? いよいよ社長も人のモノになっちゃうのかぁ」
「ほんとに残念。まぁ私たちには手の届かない人だけどね」
「うんうん。でも夢見るくらいは自由だから」


エレベーターに向かう彼女たちの会話は、そこで聞こえなくなった。
ふたりの声はしっかり耳に届いていたはずなのに、すぐに理解できず放心状態になる。想定していなかった言葉の羅列が、美織を混乱させていた。

(……史哉さんが婚約? 今の女性と……?)

力が抜け、封筒が手から落ちて一メートルほどフロアを滑る。それを拾い上げた女性が美織の前に立った。


「受付からご連絡をくださった夏川様ですか?」
「……はい、そうです。お忙しいところ申し訳ありません」


ハッとして彼女と向かい合う。


「お世話になっております。瀬那の秘書をしております有村理恵子と申します」


黒いパンツスーツに身を包んだ彼女は、史哉と再会したときに沖縄で見かけた女性だ。