気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】


思わず立ち上がって、足を数歩出す。しかし彼の隣に寄り添うように歩く女性の存在に気づき、咄嗟に近くの観葉植物の陰に隠れた。

(秘書さんかな……?)

一瞬そう思ったが、以前沖縄で見かけた女性とは違う。目の前に現れた彼女はウエストがリボンモチーフになったアプリコット色のおしゃれなワンピースを着ており、働くようなスタイルではない。
ハーフアップにした栗色の髪が胸元でカールを描いて揺れている。フランス人形のように目鼻立ちのぱっちりとした美人だ。


「おいしいレストランみたいなので楽しみですね」


少し甘えた口調の彼女の高い声が美織の耳に届く。明らかにプライベートな雰囲気のふたりだ。

美織に気づかず、史哉が自動ドアを抜けていく。声が届くほど近くにいるのに、遥か彼方から見ているよう。まるで心の距離を表しているみたいだった。

茫然と立ち尽くして見ていると、エントランスから入ってきたふたりの女性の会話が聞こえてきた。


「今のってソラスティの令嬢でしょ?」
「そうそう。噂には聞いてたけど本当に美人ね」


史哉たちが歩いていったほうに振り返りながら続ける。