のんびりとした沖縄とは大違い。異世界に迷い込んだよう。
昔、この空気の中に身を置いていたのが信じられない。都会の時間の流れに美織だけ取り残されてしまったみたいだ。
(……でも、こんなところで立ち止まっていられないわ。私には大切な任務があるんだから)
自分を奮い立たせ、いざ足を進める。
三連になった自動ドアを抜けると、三階層の吹き抜けが現れた。
広いエントランスロビーはベージュやウッド調のエレガントな色味に、差し色として配された黒が高級感を醸し出している。高い窓から差し込む自然光で大理石のフロアが輝く。さすがは一流ホテルの本社ビル、洗練された雰囲気だ。
気後れしながら受付カウンターに向かうと、そこに企業の顔と言うべき美しい女性がいた。
受付に人を置かず、訪問者自身が設置された電話で連絡を入れる企業が増える中、ここは人をふたりも配している。効率よりも人との繋がりを重要視しているようで好感度が高い。
「いらっしゃいませ」
美織が声をかけるより早く、女性が挨拶をする。



