史哉の名刺を頼りに空港から電車を乗り継ぐ。
スマートフォンの地図ソフトで確認すると、ラ・ルーチェの本社ビルは降車駅からは徒歩三分の距離にあるのがわかる。タクシーを使わなくても迷わず行けそうだ。
改札を出て、久しぶりに東京の空の下を歩く。史哉から逃げるようにして沖縄へ飛んで以来の都会の空気だ。頬をくすぐる風はひんやりとしており、沖縄とは違って肌で冬を感じる。
あのときとは比べ物にならないほど心は軽やか。足取りも軽快である。
クリスマスシーズンに入り、華やかなムードが満点。街は一年でもっとも煌びやかなときを迎えていた。
地図ソフトの指し示す通りに歩き、目的の場所にいよいよ到着。美織の目の前に高層ビルがそびえ立った。
「ここ……?」
地図と目の前の建物を何度も見比べて周囲を見渡したら、傍らにある大きな大理石に〝ラ・ルーチェ〟と刻まれていた。
一流企業の本社のため相応の佇まいは想定していたが、美織の予想以上。目が眩む。
スーツを着たビジネスマンや、OLっぽいおしゃれな人たちがエントランスドアを忙しなく行き交っている。



