「美織、陽向くんとそこに立って」
史哉は陽向を下ろし、美織に託した。
スロープの途中にバルコニーのように突き出たスペースがあり、そこに並ぶように言う。水槽がよく見渡せ、写真を撮るには絶好の場所だ。
史哉はポケットからスマートフォンを取り出し、美織たちのほうに向けた。
「おにいちゃんのほうを見てね」
陽向に合わせてその場にしゃがみ込み、肩を引き寄せる。
ジンベエザメがバックにくるタイミングを計り……。
「よし、今だ。ふたりとも笑って」
号令に合わせて陽向とふたり、史哉を見た。
カシャッと小さな音を立て、撮影が完了する。史哉は画面を操作して、撮ったばかりの写真を表示させて美織たちに見せた。
「ふたりともいい笑顔だ」
美織の表情が少し硬いのには目を瞑ろう。



