史哉がエンジンをかけると、陽向は元気よく「しゅっぱつしんこー!」と右腕を振り上げた。朝からこんな調子でテンションが高いため、到着する前に電池切れになってしまうのではないかと心配になる。
でもそんな陽向を見るのは初めてかもしれない。これまで祖父母や渚の家族と出かけるときには前日の夜に眠れなかったり、起きたそばからはしゃいだりはしなかった。
状況を理解できるようになった成長の証かもしれないが、史哉と一緒なのが大きい気がしてならない。
「おにいちゃん、おさかないっぱい、たのしみだね」
「そうだね。おにいちゃんも陽向くんとお出かけできて楽しいよ。陽向くんのママも楽しみだって」
ルームミラー越しに史哉と目が合い、不自然に視線を彷徨わせていると、隣の陽向から眩しい眼差しを向けられた。
「ママもいっぱいみようね」
「そうね、綺麗なお魚がたくさん見られるといいな」
「きれーなおさかな、いる?」
美織のリクエストを聞き、陽向がすかさず史哉に尋ねる。



