気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】


「もしかして、楽しんだらいけないって考えてない?」
「……え?」
「ふたりの間にあった過去の出来事のせいで、本音を押し殺してるんじゃないかなって思ったの」


祖母の言葉にドキッとさせられる。

彼への恋心は葬り去ったはずだった。心から追い出して、欠片のひとつさえ残していないはずだった。
でもそれは錯覚だったと痛感したのは今朝だった。うつらうつらとしたまま朝を迎えたのは、史哉のことを考えていたせい。

美織の心の奥底に姿を隠していただけで、その存在がなくなったわけではなかった。
それを認めたくなくて、彼の過去の発言を言い訳にして逃げていただけ。さも迷惑そうな顔をしているくせに、本当は会いにきてくれるのを心待ちにしていたと、悦子にも気づかされた。


「……だけど彼は世界的にも有名なホテルグループのトップなの。私が妻になれるような人じゃないから」


そもそも彼は美織との結婚を望んではいない。ほしいのは陽向の父親としてのポジションであって、美織への愛は最初からないのだから。