翌朝、美織が工房併設のギャラリーで掃除をしていると、祖母の悦子が声をかけてきた。
「昨夜の花火は楽しかった?」
祖母はひと足先に帰宅したが、辰雄から史哉が訪れたと聞いたのだろう。
「……うん、陽向は大喜びだった」
「そう。美織は?」
「私?」
そう聞かれるとは思わず、自分の胸を指差して聞き返す。
「美織も楽しかったらいいなと思ったの。おばあちゃんにはふたりの間になにがあったのかわからないし、美織にしてみたら無責任な発言に聞こえるかもしれないけど。再会したのもまた、縁なんじゃないかしらね」
全然楽しくなかったと言ったら嘘になる。
陽向の喜ぶ顔を見るのは、美織にとってなによりの幸せだから。



