花火ではしゃいで疲れたのか、陽向は夕食とお風呂のあと早々に布団に入った。
満足そうな寝顔を見つつ、美織はスタンドライトの明かりの下で久しぶりにアルバムをめくりながら、陽向が生まれてからの二年半を思い返していた。
これは陽向のお宮参りの写真で、こっちはお食い初め。初めて寝返りをうったお昼寝の写真もある。
初めて立ったり歩いたりしたときの感動を思い出して、不意に胸が熱くなった。
父親である史哉は、この大切な瞬間のどれにも立ち会っていない。どんな理由があるにせよ、その機会を奪ったのは美織だ。
(……花火の写真、撮り損ねちゃった)
三人だけの小さな花火大会は戸惑っているうちに終わり、写真を撮る心の余裕もなかった。
ふと、史哉から向けられた穏やかな眼差しを思い出し、胸の奥が疼く。
(やだな、今さらどうしたの)
自分の胸の手をあて、宥めるようにトントンとする。
過去の恋心がつかの間蘇っただけ。今の自分とはまったく別物だと言い含めるが、まったく効果はなし。
美織はその夜、遅くまでなかなか寝つけなかった。



