美織の制止もなんのその。史哉は「ね、陽向くん」と約束を取りつける気満々だ。
「おさかな?」
「そう、お魚。綺麗な色のお魚がいっぱいいるよ」
「きょうりゅうもいる?」
その返答には、史哉だけでなく美織も思わず笑ってしまった。
陽向の中で恐竜は過去の生物ではなく、魚や動物と同じように現在も存在している。『今はもういないのよ』と言った直後、テレビでワニを見て『ママ! きょうりゅうがいきてる!』と大興奮したことがある。
「ごめん、恐竜はいないけど、クジラやサメがいるよ」
「クジラとサメ? おっきい?」
「すごく大きいよ」
「このくらい?」
陽向が両腕を大きく広げる。
「もっと大きいよ」
「もっと? じゃあこのくらい?」
「いいや、もっともっとだ」



