そして今一度、暮と茉柚子は──。

「え、えーと……モモの『兄』としましては、以前のモモの様子も知っておいた方が宜しいかと……」

 茉柚子を食事に誘った理由を、そんな所に求めていた。

 しばし沈黙する茉柚子、だが。

「モモをそんなに想ってくださいましてありがとうございます。では私の携帯に一度ショートメールをお送りください。こちらに載せておりますので」

 にっこりと微笑み名刺を差し出す。

 寒いのか緊張しているのか分からぬ震える手で受け取った暮は、名刺を凝視し、次に疑問を口にした茉柚子へと顔を上げた。

「それで、あの、貴方のお名前は?」

「く、暮 純一です! 夕暮れの『暮』に、純情一筋の『純一』ですっ!!」

 茉柚子の質問に、はつらつとした大声で答えた暮の頬は、まさしく夕暮れのように染められていた──。