翌日から再びいつも通りの生活が始まり、三日が過ぎた日曜の夜──。

「モモ、お客さんだとさ~団長室へおいでって」

「お客さん? 団長室?」

 片付けをほぼ終えようとしていた背中に暮の声が降り注がれて、モモは不思議そうに振り返った。

 ──こんな時間に、それもどうして団長室なんだろう?

 小走りで駆けてゆき、団長室をノックして入室する──その瞬間、

「キャー! 相変わらず可愛いわねぇ、モモちゃん!!」

「……へ!?」

「お前……いい加減にしろって……」

 いきなり目の前に現れた影に抱きつかれ、両頬を撫で回され、黄色い声と、自分の驚きと……そして呆れた声が聞こえた──凪徒。

「あ、杏奈さん! お、お久し振りです……」

 相変わらずの鮮やかな赤い唇に視線を持っていかれながら、モモは苦笑いの表情で挨拶をした。

 杏奈の『モモのほっぺ好き』は健在のようだ。