それからしばらく子供達や自分より少し年下の面々による質問コーナーに付き合わされ、モモはすっかり施設にいた当時の自分に戻っていた。

 そんな楽しく(なつ)かしい三十分程が過ぎようとした頃。

「モモ……久し振りだな」

 ──え?

 自分の前に集まっている笑顔のメンバーが全てだと思っていたモモは、その山の向こう側から聞こえてきた、明らかに声色(こわいろ)の低い呼び掛けに時を止めた。

「こ、洸……ちゃん──?」

 ずっと椅子に腰掛けていたのであろう影が立ち上がり、モモを真っ直ぐな眼差しで見つめていた──。



★桃(色)、桜(色)、(あんず)(色)、と来ましたので、お次は(ゆず)(色)にしてみました。

 が、柚という字が使えるようになったのは最近だそうで・・・彼女が生まれた頃には使えなかった漢字みたいですね(苦笑)。