「……で?」



週末の午後。

オシャレなカフェで。

テーブルを挟んだ向こうから、南があたしに問いかける。



「どうするの?連絡するの?悠馬くんに」



「……あ、あたし……」
と、声がどんどん小さくなるのを感じながら、あたしはこう答えた。



「……連絡しちゃったんだよね、もうすでに」



「え」

「うん。そうなの、連絡しちゃったの、勢いで」



「えっ!?」



驚いた南は、身を乗り出した。

それから少し声をひそめて、
「返事は?連絡って電話?」
と、目を輝かせた。



「そんなキラキラな目で聞かないでよぅ」

「ってことは、電話とかじゃないんだ?メッセージ送ったか何かで、返事がないんだ?」

「……当たり」



「やっぱりね」と、南はため息を吐く。

左手で少し乱れた前髪を直す。

その薬指にはキラリと光る指輪がある。



「……いいな、南。結婚って楽しい?」