その夜、遅い時間。

酔って寝ていた悠馬くんが、目を覚ました。



「あれ?……っ!痛たたっ!」



頭を両手でおさえている。



「大丈夫?」
と、あたしは立ち上がり、キッチンに行ってコップに水を注いだ。



それを悠馬くんに渡す。

受け取りながら悠馬くんは、
「ありがとう。鞠奈、レポートしてたの?」
と、さっきまであたしが座っていたテーブルの上にあるパソコンを横目で見る。



「うん。もう提出期限は過ぎてるんだけど、一応やっておかないと」

「え、期限過ぎてるの?」



悠馬くんは水をひとくち飲んだ。







「……今日って、練習じゃなかったっけ?」
と、あたしは話を変えた。




「え?」

「悠馬くん、バンドの練習に行くってメッセージをくれたよね?」

「うん、そうだね」



悠馬くんはだから、何?というような顔をしている。



本当なら、ここで何も聞かない、言わないほうが平和だろうな、とは思った。

……思った、けど。