悠馬くんは。

新しいものが好き。



使い慣れたものに対して、執着することはあまり無い。



そのことが。

あたしを不安にさせる。



あの美人な彼女の言葉を思い出す。



『あなたは、飽きられないようにね』



十二月の夕暮れの空を。

あたしはキッと睨んで。

大丈夫って心の中で唱える。



(大丈夫。悠馬くんはきっと、ずっとそばにいてくれるから)






『ベイビー・サンデー』は、今週末にまたあのライブハウスで演奏する。

固定ファンのみならず、どんどん人気が高まってきている。

その中には、悠馬くんの容姿に惹かれるファンも多い。






「鞠奈もはじめは一目惚れだもんね?」



南が珍しく、学校帰りにお茶しようと誘ってくれて。

あたし達はカフェにいる。



「そうだね、一目惚れってやつだね」



あたしはココアラテの入ったカップを両手で包んで、口元に持っていく。