それから。

あたしの部屋の中には。

これまであった荷物に加えて。

悠馬くんの荷物が少しずつ増えていった。



「ねぇー、このTシャツ可愛いね。借りていい?」



あたしは悠馬くんの淡いブルーのTシャツを手に取り、本人に見せた。

これは悠馬くんのお気に入りのTシャツで、よく着ているのを知っている。



「いいよ。でも、鞠奈には大きくない?」



朝ごはんのバタートーストをかじりつつ、悠馬くんは返事をくれた。



「大丈夫!ほら、見て?可愛くない?」



あたしが着たら明らかに大きいTシャツだけど、黒いロングカーディガンと細身の黒いパンツと合わせて、悠馬くんに見えるようにくるくる回ってみせる。



「可愛い、可愛い」



悠馬くんが目を細める。

嬉しくなって、
「じゃ、借ります!」
と宣言すると、悠馬くんが手招きした。



そばまで行くと、悠馬くんがあたしに小さくキスをした。

ふんわり、バターの香りのするキス。



「!?何、何のキス!?」