「応援なんて、いらない」



南の意外な言葉に驚く。



「応援してくれなくてもいいから、鞠奈も頑張ってほしいよ」
と、南は言って、
「悠馬くんのこと、好きになっちゃったんでしょう?」
と、あたしに一枚のガムをくれた。



「……恋人がいるらしいよ」



あたしはガムを口に放り込み、食器を返却する。



「それがどうした、乙女よ!恋する気持ちに変わりないじゃないか」
なんて、南はおどけてみせてから、
「気持ちを伝えることはしないの?」
と言って、私と同じように、口の中にガムを放り込んだ。



「告白、ねぇ」

「告白しなくちゃ、何も始まらないよ」

「始まらない?」



南はうなずいて、
「悠馬くんを好きなままで、他の人と恋なんか出来ないよ。イヤな言い方するけれど、次に進むためにも、鞠奈は告白しなくちゃ」
と、言った。



「次に進む……」



悠馬くんの先に、「次」があるのかな。

なんだか悠馬くんへの想いが強烈過ぎて、その先に行っても「次」なんて無い気すらする。