拾った男,まさかの一生もん

「ハッ」



鼻で笑ってやると,思った通り,あずさは目を丸くして困惑した。



「俺を押し倒すには,弱すぎる」



片手で力を込めてやれば,あずさのバランスが簡単に崩れる。

その次の瞬間には,上にいるのはあずさじゃなく,俺だ。



「ゆ…う」



真っ赤な顔のあずさの首筋に歯を立てれば,肩に置かれたあずさの手に,力が加わる。

与えられた微弱な力を愉快に思いながら,俺は口にした。



「俺も,結構気に入ってる」



ピクリとした反応に合わせて,俺はあずさに唇を当てる。



「む…ん?! なに…」



あずさはそれ以上,何も言わなかった。