恋と、嘘と、憂鬱と。



私と真凛ちゃんが声のする方向に視線を向けるより一瞬早く、反応したのは久瀬先輩で。


「…遥奈先輩。俺にそういうの求められても困るって前から言ってるじゃないですか」


そう文句を言いつつも、久瀬先輩の声のトーンが少しだけ優しくなったのを私は聞き逃さなかった。


…久瀬先輩、私達と話してる時と雰囲気が違う。


しかし、当の遥奈先輩自身はその変化に気づいていないようで…。


「…もう。相変わらずなんだから…!二人ともゴメンね!無愛想だから驚いたでしょ?颯真は、わりと誰に対してもあんな感じだから気にしなくていいからね?」


と、久瀬先輩に呆れつつ、私達を気遣うように優しく声をかけてくれる。


「…あ!だ、大丈夫です!気にしてませんし、それに久瀬先輩、さっき転びそうになった季里を助けてくれましたし…ね、季里?」


「…う、うん」