恋と、嘘と、憂鬱と。



ホッとしたような表情で私を見たあと、真凛ちゃんはチラリと視線を久瀬先輩に移す。


そして。


「…あの、久瀬…先輩ですよね?季里のこと助けてくれてありがとうございました。実は私達、天文部の仮入部届けを持ってきたんですけど…」


と、遠慮がちに呟き、仮入部届けをバックから取り出した。


「…あぁ。悪いけど、俺は、ほぼ部室いないし、渡されても困る。つか、もうすぐ他の部員も来るだろうからそっちに渡しといて」


若干、面倒くさそうに真凛ちゃんの質問に答えた久瀬先輩。


それだけ言い残すと、真凛ちゃんの手元の仮入部届けには目もくれず、部室をあとにしようとした。


その時。


「ちょっと、颯真!新入生には優しくしないとダメでしょ?そんな気だるげな態度は、とらないで笑顔が大事!」


と、久瀬先輩を嗜める可愛らしい声が聞こえてきた。