恋と、嘘と、憂鬱と。



「天は二物を与えずというけどそれって嘘ね…。遥奈先輩を見てたらそう思ったわ」


考え込むように唸る彼女に苦笑しつつ、他愛もない話に花を咲かせていると、第二化学室にもあっという間についてしまう。


本校舎より、少し離れたところにあるため、人通りが少ない部室付近。

天文部員以外はほとんど訪れないと、昨日美桜先輩たちが教えてくれた。


「部室…誰かいるといいけどなぁ。季里、とりあえず仮入部届けって部長に出せばいいのかな?」

「そうだね、とりあえず遥奈先輩がいたら先輩に渡して…他の先輩がいたら、誰かに預け…」


と、化学室の扉に手をかけつつ、真凛ちゃんに声をかけた時。


ガラッ。


「…キャッ」


目の前の扉が、急に開いたことに驚いて私はバランスを崩した。