そういえば、颯真くん達今日本土に帰る予定だったんだ…。

きっと、玲子さん達も戻ってこないなと、ソワソワしているに違いない。

「颯真くん…!早くしないとフェリーに乗り遅れちゃう」

颯真くんに声をかけ、サッと立ち上がる私は慌てて堤防から地面へと飛び降りる。

「あ〜…。季里、今日は玲子おばさんに頼んで泊めてもらうから大丈夫だよ。元々、おばさんも泊まって行けって言ってたし…母さんたちにも明日帰るって連絡するから」

一瞬、悩んだ様子の颯真くんだったが、最終的には諦めたようで私にそう告げた。

「そっか…。それならいいけど」

「それに……っと!」

何か言いかけながら、堤防から腰を上げた颯真くんは、軽い身のこなしで私の隣に着地する。

「まだ、うまく伝わったのか心配だしな。こんな状況で話うやむやにして帰れないからさ」

「…え?」

私が不思議そうな表情を浮かべていたからだろう。
若干、呆れたように小さく息をついた颯真くんは、ふいに。

「俺が季里をどのくらい"好き"かってことについて、な?」


そんな爆弾を投下したかと思うと、私も見たことないくらい綺麗な笑顔で微笑んだのだった----。