恋と、嘘と、憂鬱と。


古民家をリノベーションした一軒家は、外装は古いが内装は玲子さんのこだわりがいっぱいの造り。

童話の中に出てきそうな雰囲気の可愛らしい室内と家具に小学生の頃の私は「私も玲子さんみたいなお家に住みたい!」と母に駄々をこねたこともあるくらい。

そんな懐かしい思い出に浸りながら、たどり着いた玄関前。

意気揚々とチャイムを鳴らそうとしたその時だった。

「いや!今日はおばさんの家に泊まりたいっ!」

えっ…?

聞き覚えのある可愛らしい声が、空気の入れ替えのために開いている窓から聞こえてきて思わず私はピタリと固まってしまう。

今のって心音ちゃん…?

そして。

「心音、ワガママ言わない。その約束で連れてきただろ?」

そう続けざまに聞こえてきた声に私は自分の耳を疑った。

『うーん。私の勘違いかもしれないけど…。この写真の颯真くんに似た人を今日、フェリー乗り場で見たような気がして…』

先ほどの眞子ちゃんの発言を思い出し、私は小さく息を呑む。

眞子ちゃんが見たのって…本当に颯真くんだったんだ。