恋と、嘘と、憂鬱と。


その後も質問を重ねている母を見兼ねた私が「お母さん…!充希くん困ってるからやめてよね」と2人の間に入り、声をかける。

しかし。

「えー?別に変なこと言ってるわけじゃないんだからいいじゃない?」

と、どこ吹く風の母。

「さ、そろそろ皆が泊まる旅館に案内するわね?車に行きましょうか!」

元気よく「こっちよ〜」と案内する母親の様子に私はソッとため息をついたのだった――。

その後、予定通りに母の運転で旅館までやってきた私達。

古民家をリノベーションした旅館は、都会では珍しいようで、旅行で訪れる観光客には人気がある。

車から降りた瞬間、真凛ちゃんは旅館の入口を見て感嘆の声を上げた。

「わぁ〜レトロ!SNS映えしそう!!季里、美桜先輩!こっちで一緒に写真撮りましょう〜」

「おぉ、いいね!撮ろうか。それで莉里花にも写真送ってあげよーっと。ほら、季里もこっちこっち」

美桜先輩もノリノリで、自撮り棒を取り出すと私に向かって手招きをする。

「は、はい」

彼女達の勢いに押され、私も2人の方に足を進めた。