「おっそいんだけど…いつまでも店先にいて何やってんの?早く入りなよ」
痺れを切らした充希くんにそう促され、私は慌てて店内へと足を踏み入れた。
どうやら、中々入ってこない私たちを気にかけて自ら扉を開けてくれたみたいだ。
すると。
「…充希…どんまい。でも、まだこれからだから!母さんは応援してるからね…!」
すれ違いざまポンッと充希くんの肩を軽く叩いた和音さんは、憐れむようにそんなことを言い放つ。
か、和音さん…!?
私も突然の行動に彼女の意図がわからず、困惑して目をしばたたかせた。
それは充希くんも同じ気持ちだったようで。
「…は?急に何?意味わかんないんだけど」
嫌そうに表情を歪めて、和音さんから距離をとっている。
「いいのよ、意地張らなくても、母さんはわかってるからね!ファイト充希!」
それだけ言い残し、キッチンに足を進める和音さん。
そんな彼女の後ろ姿を見送った私と充希くんはお互い顔を見合わせた。



