恋と、嘘と、憂鬱と。


そんな他愛もない会話に花を咲かせていると、いつの間にか『フレーズ・デ・ボワ』の前にたどり着いていた。

既に、先に充希くんが到着していたからか明かりがついてる。

「和音さん、ドア開けますね…!」

利き手がまだ若干不自由な和音さんを気遣い、私がカフェのドアに手をかけた時。

「季里ちゃん…!ちょっと待って」

なぜか、和音さんからストップがかかり、私は動きを止めて彼女に向き直った。

「どうかしました…?」

キョトンとした表情を浮かべ、和音さんを見つめる。

「季里ちゃん、ありがとね?充希と仲良くしてくれて…あの子、季里ちゃんに会って良い意味で少し変わった気がするの」

充希くんに似た綺麗な顔でふわりと、優しく微笑む和音さんに私は目を見開いた。

「あの子、優しい子なんだけど…女装のことだったり、口も悪いでしょ?だから今まで同年代の友達ってあまりいなくて…。強いて言うなら、颯真くんのことは慕ってたんだけど…、疎遠になっちゃったし」