恋と、嘘と、憂鬱と。


和音さんに褒められて、心音ちゃんは得意げな様子だ。

しかし。

「季里ちゃん、お兄ちゃんのところ戻ろ〜。おばさんまた来るね」

と、早く先輩に会いたいのか私を急かす彼女にクスッと笑みがこぼれる。

「そうだね。それじゃ、和音さんちょっと行ってきます」

「行ってらっしゃい〜、もうすぐ充希も帰って来るだろうから心配しなくて大丈夫よ。それじゃ心音ちゃん、また来てね」

和音さんに見送られ、私たちは『フレーズ・デ・ボワ』をあとにする。

「オレンジジュース美味しかった!お兄ちゃんにも教えてあげないと。季里ちゃん、公園でブランコ乗ろう?」

キュッと、私の手を握りしめ心音ちゃんは楽しそうに口を開く。

そんな心音ちゃんに「そうだね」と、相づちを打ちつつ。

久瀬先輩、そろそろスーパーに着いたかな?

そう思って私がスマホを取り出したのとほぼ同時に。

〜♪

着信を告げるバイブ音が鳴った。