恋と、嘘と、憂鬱と。


そう言って、ギュッと私に抱きつくと心音ちゃんは久瀬先輩を見つめる。

「心音、それはダメだ。お姉ちゃんもお使いの途中だって言ってるだろ?」

突然、先輩の声色が変わり、心音ちゃんに向かってビシッと厳しくそう言い放った。

そんな先輩に心音ちゃんは、ビクッと肩を揺らす。

でも、彼女も負けてはいなかった。

「…っ、お兄ちゃんの意地悪…!」

ウルウルと瞳に涙をためながらも、久瀬先輩に向かってそう言い返したのだ。

その姿に先輩も面食らったようで、目を見開いている。

しかし。

「ダメって言ったら、ダメだ」

その意向は変わらないようで。

バチバチと、2人の視線が絡みあい、心音ちゃんに至っては我慢しているがすでに涙腺が崩壊寸前だ。

「あの久瀬先輩…。心音ちゃんが一緒に来るくらい全然大丈夫ですよ?和音さんにも連絡しとけばいいですし」

つい、心音ちゃんがかわいそうになり、そんな助け舟を出してしまった私。

その瞬間、嬉しそうに私を見つめる心音ちゃん。

「ほんと…!やった〜季里ちゃん、大好き!お兄ちゃん、季里ちゃんが良いって」