恋と、嘘と、憂鬱と。


え、嘘…でしょ?

私がそう思うのも無理はない。

だって、女の子のお兄さんがいるはずの場所に、立っていたのは……。

「く、久瀬先輩…」

そう、私が探していた久瀬颯真先輩、その人だったから。

「…お兄ちゃん、しってる人…?」

久瀬先輩の足元で、ギュッと抱きついている女の子は、不思議そうに私と久瀬先輩を見つめている。

「…まぁ、一応な。というか、心音…兄ちゃんとお店に着いてから、ひとりで勝手に行動しないって約束したよな?」


少しだけ、口調を強くした久瀬先輩は足元にいる女の子…心音ちゃんに向かってそう言い放った。


「…だって、ほしいお菓子があったんだもん」


「…ったく、お前は…。ケガしてからじゃ遅いんだぞ。悪かったな。どうせ、心音の方が前方不注意だったんだろ」