恋と、嘘と、憂鬱と。


パチッ。

私がついマジマジと見つめてしまっていたこともあり、女の子と視線が合った。

「…あ、あの」

怖がらせないように気を遣いながら、女の子に向かってそう声をかけた瞬間。


「あ!お兄ちゃん…!」


パアッと、表情が明るくなった女の子は、私の後ろにいる人物にパタパタと、かけよっていく。


よかった、保護者の人来てくれたみたい。

ん?…でもちょっと待って。これってパッと見、私すっごい怪しい人だよね…。

もしかして、不審者と勘違いされてたり…。

ホッと胸をなでおろしたのも束の間、そんな考えが頭をよぎり、私の顔からはサーッと血の気がひく。


とりあえず、謝らなくちゃ。
ケガがなかったとはいえ、ぶつかってしまったわけだし…!


「あ、あの!ごめんなさい。私が立ってるところに、後ろからこの子がぶつかっちゃってですね…決して怪しい者では…」


あわあわと、女の子の兄と言う人に向かって弁解しつつ、私はくるりと後ろを振り返った。