恋と、嘘と、憂鬱と。



「…理央、久瀬ってあんな風に女子を助けるヤツだっけか?」


結局、出ていくタイミングを失い、ポツンと佇む速水がおもむろに口を開く。


「いや、俺が知る限りは…」


…遥奈先輩くらいだよ


言いかけたその言葉をどうにか飲み込む。


そして、俺は小さく息を吐いた。

こんな誰に聞かれるかわからない場所でする話じゃない。

天文部2年生メンバーの間では周知の事実だが、他の生徒に知られるのは流石によろしくない。

彼氏の仙道先輩は薄々気づいてるかもしれないけど…。

相手はあの、有名な遥奈先輩だしな。


速水もそれを察したのか、それ以上は何も語らず、口をつぐんだのだった。