恋と、嘘と、憂鬱と。



「なんだ、颯真か…急に背後にいたら驚くだろ」

霧谷先輩が、小さくため息をこぼしつつ注意した。

しかし、久瀬先輩はシレッとした表情を浮かべると。

「…ふーん。そりゃ、悪かったな。ま、俺はちゃんと声かけたから早く来いよ?」

と、悪びれた様子もなくそれだけ言い残し、充希くんには目もくれずサッサと、キッチンを後にする。


「……」

「……」


残されたのは私と霧谷先輩、そして充希くん。

なぜか、充希くんは固まったように微動だにしないし…。

「えっと…とりあえず、皆待ってるみたいだし、できたのから運んじゃおうか?季里ちゃん、カウンターの上ににどんどん運んでくれる?」

そんな空気を打ち破ってくれたのは、霧谷先輩で。

近くにある完成した煮込みハンバーグの皿を掴むと、私にそう声をかけた。